基準変更

世の中では、コロナ騒動の裏で進む検察官の定年延長で沸騰中だけど。。。
その裏では、フィギュアスケートのジャンプの点数見直しが行われてた。
フィギュアスケートは6種類のジャンプがあるが、踏切の方法で難易度が設定されており、回転数と難易度で基礎点が決められている。例えば、サルコウは「左足のインサイドエッジで後ろ向きに滑りながら、トウをつかず右足を前に振り上げて跳ぶ」、ループは「右足のアウトサイドエッジで後ろ向きに滑りながら、トウをつかず跳ぶ」という感じで身体とスケートの刃の向き、足の上げ方などで決められている。つま先から飛ぶジャンプ(トウ系)とつま先をつかないジャンプ(エッジ系)に分かれるが、それ自体が優劣ではない。エッジの向きや足の使い方などの組み合わせで難易度は決まる。後述する、個人で得意・不得意があるし、ジャンプの種類には制限があるので、高得点のアクセルジャンプばかり跳べるわけではない。
一番難易度が低いとされるトウループジャンプは3回転(3Tと書くと通ぽくなる)だと基礎点が4.20だが、4回転(4T)だと9.50となる。同じ3回転でも最高難度のアクセルジャンプ(3A)だと、基礎点が8.00点となる。基礎点を寿司に例えると、松:アクセル・ルッツ、竹:フリップ・ループ、梅:サルコウトウループという格があった(アクセルは別格でもあるけど)。
今回の改定でルッツ(Lz)の点数を下げ、ループ(Lo)を上げて、フリップ(F)と同等とされることになった(4Lz 11.5 → 11.0、4Lo 10.5→11.0、4F 11.0→11.0)。
たかが、0.5点だが、細かい要素の積み重ねで合計点数が決まるフィギュアスケートはコンマレベルの点差で明暗が分かれることがある。例えば、2019年世界選手権の女子は銀メダルを獲得したトゥルシンバエワから5位の坂本花織までの得点差は1.93、銅メダルのメドベージェワと4位の紀平梨花の差はわずかに0.31だった。女子の得点源とされてきた3Lzは0.6減少しており、ジャンプの基礎点見直しが与える影響はかなり大きい。
今回の改定の影響だが、男子のトップレベルでは、米国のネイサン・チェン、ビンセント・ゾウ、中国のボーヤン・ジンが4回転ルッツを得意として得点源としているが、日本のエース格の羽生結弦宇野昌磨は4回転ループ、4回転フリップを極め技にしている。単純に言うと日本選手に有利な改定ではあるのだが、ネイサン・チェンがループジャンプを跳べないわけではないので(アクセルが苦手という癖があったが、昨期から克服してきた)、決定的なわけではない。ただ、ルッツでの荒稼ぎがなくなるので、日本勢には当面有利な改定となる。
個人的には坂本花織が得意とする3回転ループの点数が変わなかったのが残念。彼女の世界一の3Loはもっと評価されて良いと思うんだけど。もっとも、女子に関してはロシアの強烈な4回転ジャンパーの勢いを止めるのは難しく、4Lzで荒稼ぎしてきたサーシャ・トゥルソワとアンナ・シェルバコワに多少不利で、4回転を取得中のアリョーナ・コストルナヤに有利という感じだろうか。
というわけで、次期シーズンのフィギュアスケートはジャンプ構成の変更に注目である。
問題は無事にシーズンインできるのか。既に8月の国内大会は中止が決定している(フィギュアスケートは完全屋内競技なので、夏にはもう競技が開始されている。あまり知られてないけど)